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ジャンル 政治学・国際関係論 |
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スリランカ政治とカースト
ーN. Q. ダヤスとその時代 1956〜1965ー
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川島耕司著
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定価2,640円/本体2,400円
四六判上製本/210ページ/ISBN978-4-7556-1300-5
2019年2月発行 |
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◎内戦を準備した行政官
◎宗教,民族,カースト
「シンハラ・オンリー」が争点となった1956年の総選挙とその後の諸政策はマイノリティの周縁化と内戦をもたらす重要な要因となった。低位のカーストでありながらエリート行政官となったN.Q.ダヤスはこの政治過程において主導的な役割を果たした。本書はこの人物を中心に,スリランカ政治における宗教,ナショナリズム,カーストの関連を明らかにするものである。 植民地時代に莫大な富を蓄積したカラーワ・カーストの人々は仏教復興運動に深く関与し,社会的,政治的地位の上昇を目指した。しかしイギリスからの権限委譲が進むにつれて,数的に圧倒する「高位カースト」であるゴイガマの政治的優越性はますます顕著になった。カラーワの富裕な一族に生まれたダヤスは,シンハラ仏教ナショナリズムというより高次なアイデンティティに訴えることで,カーストという特殊性を乗り越えようとした。この戦術は過激なナショナリズムを提示することで明らかにより有効に機能したが,それは同時に内戦への道を切り開く重要な一過程となった。 |
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はじめに
第1章 スリランカのカーストとカラーワ
1 シンハラ社会とカースト
2 カラーワ・カーストとその起源
3 カラーワの経済的上昇
4 仏教復興運動とカラーワ
5 植民地期の政治改革とカースト
6 独立後の政治とカース
7 おわりに
第2章 一九五〇年代スリランカにおける政治とカースト
1 「変遷しつつあるカースト」
2 一九五四年のイギリスの報告書
3 一九五〇年代のカースト慣習
4 P・ダ・S・クララトネと政治
5 C・P・ダ・シルワとサラーガマ・カースト
6 おわりに
第3章 一九五六年の政治変革
1 ドノモア憲法と「コミュナリズム」
2 仏教委員会の報告書とその影響
3 N・Q・ダヤスと政治変革
4 一九五六年の選挙とシンハラ・オンリー政策
5 おわりに
第4章 S・W・R・D・バンダーラナーヤカとシンハラ仏教ナショナリズム
1 新政権とナショナリズム
2 N・Q・ダヤスとS・W・R・D・バンダーラナーヤカ政権
3 メッターナンダの言論活動
4 BC協定批判
5 バンダーラナーヤカ暗殺
6 おわりに
第5章 バンダーラナーヤカ夫人政権とN・Q・ダヤ
1 バンダーラナーヤカ夫人の政権獲得
2 N・Q・ダヤスと新政権
3 学校の国有化
4 軍隊の仏教徒化
5 一九六二年のクーデター未遂事件
6 BJBの設立とポーヤ日
7 一九六六年のクーデター未遂事件
8 おわりに
おわりに
あとがき
索引
著者紹介
松川島耕司(かわしまこうじ)
1958年 岐阜県に生まれる
1994年 ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)よりPh.D.取得
1995年 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学
現 在 国士舘大学政経学部教授
主要著書
『スリランカと民族―シンハラ・ナショナリズムの形成とマイノリティ集団―』明石書店,2006年。
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