序 論
1 分析の目的と焦点
2 本書の構成
第一部 日米韓三カ国安全保障協力の模索
第1章 朝鮮半島をめぐる日米関係
1 北朝鮮は合理的な判断ができる
2 北朝鮮は脅威ではない
3 米国が恐れているのは日本である
4 日米同盟の虚実
5 北朝鮮問題の落しどころ
第2章 ブッシュ政権と日米韓関係の展望―太陽政策,日米同盟強化,日韓防衛協力の連携―
1 太陽政策
2 日米同盟強化に対する韓国側の認識
3 日韓防衛協力の行方
4 結語
第二部 六ヵ国協議の開始から手詰まりまで―顕在化する中国要因―
第3章 第一回六ヵ国協議と米国の東アジア戦略状況認識
1 共通認識
2 北朝鮮の脅威への軍事的対応
3 米国は対中宥和策へ転換か
4 中国の軍拡をどう考えるか
5 日本の核武装
6 米国の対中戦略
7 行き詰った米国の北朝鮮政策
第4章 なぜ第二期ブッシュ政権の北朝鮮政策は手詰まりに陥ったのか
1 六ヵ国協議と中国の思惑
2 中国の輸出管理体制が機能しない原因―様々な解釈―
3 「腐敗」に垣間見る中国の戦略的思考
4 米国に残された選択肢
第三部 六カ国協議の破綻―迷走する米国の北朝鮮政策―
第5章 北朝鮮の体制変換を断念したブッシュ政権
1 国際法的にはグレーゾーンにある北朝鮮の核兵器開発
2 万策尽きた米国
3 ある一つの展望
4 結語
第6章 六カ国協議の評価と展望―焦点はポスト金正日継続問題か―
1 外交的に敗北したブッシュ政権
2 思ったより効果が限定的な金融政策
3 金正日体制は思ったより盤石
4 綻びは金正日の健康悪化と継続問題か
5 結語
第7章 困難な米朝交渉
1 日本の国益との衝突
2 迷走する米国の北朝鮮政策
第四部 中朝関係の実態と変容
第8章 中国による北朝鮮の「植民地化」
1 直接の動機
2 構造的背景
3 中国による植民地化
4 金正日体制における緊張とジレンマ
5 展望
6 「東アジアの協調」ではなく「中国による協調」
第9章 張成沢処刑から垣間見える中国の軍閥化
1 体制内部要因による説明の限界
2 中国政治の現状
3 中国政治の軍閥化
4 国際分析の行き過ぎた専門化
第五部 日米韓三ヵ国安全保障協力を撹乱する歴史問題
第10章 慰安婦問題を非政治化せよ
1 歴史正統派と異端
2 現代日本における市民の苦悶
3 国際政治へのインプリケーション
4 日米の分裂を修復する
第11章 なぜ韓国は反日なのか―日韓関係と日台関係の比較の視点から―
1 朝鮮半島情勢
2 問題の所在と分析視覚
3 日本統治における差異
4 近年における変化―韓国の変則性―
5 今後の展望
第12章 慰安婦問題に関する日韓最終合意と米オバマ政権による圧力―二本のシンクタンク政策論文から考える―
1 慰安婦問題の経緯
2 米国の戦略的利害とオバマ政権の政治的利害
3 二本のシンクタンク政索論文
4 「バーガー論文」
5 「マニイン論文」
6 結語
第六部 北朝鮮問題後の国際政治への展望
第13章 日本の北朝鮮に関する地経学的思考
1 ブッシュ政権に対する日本国民の幻滅
2 疑わしい米国の主張―北朝鮮の「スーパー・ノート」―
3 北朝鮮による直接投資
4 激烈さを増す米欧間の競争
5 競争における日本の優位性
6 結論
第14章 北朝鮮問題後に訪れる本当の危機―東アジア秩序への衝撃―
1 トランプ政権の優先順位―公式表明の内容と実際の齟齬―
2 トランプ政権の基本方針―選挙公約に忠実―
3 窮地に追い込まれるJIBs(Japan, Israel, Britain)
4 戦略的自立を迫られる日本
5 回避できない戦略的自立―多国間安保体制は選択肢ではない―
おわりに
(補論)北朝鮮のスヴァールバル条約への加入に関する一考察
1 スヴァールバル諸島の概要
2 スヴァールバル諸島に関する国際法レジーム
3 スヴァールバル諸島を巡る国際政治状況
4 結語
著者紹介松村昌廣(マツムラ マサヒロ)
1963年,神戸市生まれ。
関西学院大学法学部政治学科卒。米オハイオ大学にて政治学修士号(MA),米メリーランド大学にて政治学博士号(Ph.D.)。現在,桃山学院大学法学部教授,平和・安全保障研究所研究委員,防衛省行政事業レビュー外部有識者。
この間,ハーバード大学オーリン戦略研究所ポストドクトラル・フェロー,米国防大学国家戦略研究所客員フェロー,ブルッキングス研究所北東アジア政策研究センター客員フェローなどを務めた。
専門は国際政治学,国家安全保障論。研究の焦点は日米同盟政策,防衛産業政策,軍事技術開発政策,軍事情報秘密保全政策など。2001年国際安全保障学会最優秀論文賞(神谷賞),2005年同会防衛著書出版奨励賞(加藤賞)受賞。
著書に『日米同盟と軍事技術』(勁草書房),『米国覇権と日本の選択』(勁草書房),『軍事情報戦略と日米同盟』(芦書房),『動揺する米国覇権』(現代図書),『軍事技術覇権と日本の防衛』(芦書房),『東アジア秩序と日本の安全保障戦略』(芦書房),『米国の覇権の凋落と日本の国防』(芦書房),『衰退する米国覇権システム』(芦書房)。
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