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ジャンル 政治学

カバー写真 日米同盟と朝鮮半島
ー国際政治における格闘場ー

松村昌廣

定価2,640円/本体2,400円
四六判上製本/306ページ/ISBN978-4-7556-1304-3
2019年12月発行

本書は,朝鮮半島を列強が厳しい権力闘争を行う「格闘場(cockpit)」であると捉えたうえで,国際構造の変容と半島情勢の変化について,近未来を展望する。それに関連し,米国の対北朝鮮・北東アジア政策,日米韓3ヵ国安全保障協力,6ヵ国協議,中朝関係の展開を過去20年にわたって分析する。また,米トランプ政権下での日米同盟,北朝鮮問題,日韓関係など,北東アジア・西太平洋地域における安全保障秩序の変容と日本が直面する危機についても考察する。

序 論
1 分析の目的と焦点
2 本書の構成

第一部 日米韓三カ国安全保障協力の模索
第1章 朝鮮半島をめぐる日米関係
1 北朝鮮は合理的な判断ができる
2 北朝鮮は脅威ではない
3 米国が恐れているのは日本である
4 日米同盟の虚実
5 北朝鮮問題の落しどころ

第2章 ブッシュ政権と日米韓関係の展望―太陽政策,日米同盟強化,日韓防衛協力の連携―
1 太陽政策
2 日米同盟強化に対する韓国側の認識
3 日韓防衛協力の行方
4 結語

第二部 六ヵ国協議の開始から手詰まりまで―顕在化する中国要因―
第3章 第一回六ヵ国協議と米国の東アジア戦略状況認識
1 共通認識
2 北朝鮮の脅威への軍事的対応
3 米国は対中宥和策へ転換か
4 中国の軍拡をどう考えるか
5 日本の核武装
6 米国の対中戦略
7 行き詰った米国の北朝鮮政策

第4章 なぜ第二期ブッシュ政権の北朝鮮政策は手詰まりに陥ったのか
1 六ヵ国協議と中国の思惑
2 中国の輸出管理体制が機能しない原因―様々な解釈―
3 「腐敗」に垣間見る中国の戦略的思考
4 米国に残された選択肢

第三部 六カ国協議の破綻―迷走する米国の北朝鮮政策―
第5章 北朝鮮の体制変換を断念したブッシュ政権
1 国際法的にはグレーゾーンにある北朝鮮の核兵器開発
2 万策尽きた米国
3 ある一つの展望
4 結語

第6章 六カ国協議の評価と展望―焦点はポスト金正日継続問題か―
1 外交的に敗北したブッシュ政権
2 思ったより効果が限定的な金融政策
3 金正日体制は思ったより盤石
4 綻びは金正日の健康悪化と継続問題か
5 結語

第7章 困難な米朝交渉
1 日本の国益との衝突
2 迷走する米国の北朝鮮政策

第四部 中朝関係の実態と変容
第8章 中国による北朝鮮の「植民地化」
1 直接の動機
2 構造的背景
3 中国による植民地化
4 金正日体制における緊張とジレンマ
5 展望
6 「東アジアの協調」ではなく「中国による協調」

第9章 張成沢処刑から垣間見える中国の軍閥化
1 体制内部要因による説明の限界
2 中国政治の現状
3 中国政治の軍閥化
4 国際分析の行き過ぎた専門化

第五部 日米韓三ヵ国安全保障協力を撹乱する歴史問題
第10章 慰安婦問題を非政治化せよ
1 歴史正統派と異端
2 現代日本における市民の苦悶
3 国際政治へのインプリケーション
4 日米の分裂を修復する

第11章 なぜ韓国は反日なのか―日韓関係と日台関係の比較の視点から―
1 朝鮮半島情勢
2 問題の所在と分析視覚
3 日本統治における差異
4 近年における変化―韓国の変則性―
5 今後の展望

第12章 慰安婦問題に関する日韓最終合意と米オバマ政権による圧力―二本のシンクタンク政策論文から考える―
1 慰安婦問題の経緯
2 米国の戦略的利害とオバマ政権の政治的利害
3 二本のシンクタンク政索論文
4 「バーガー論文」
5 「マニイン論文」
6 結語

第六部 北朝鮮問題後の国際政治への展望
第13章 日本の北朝鮮に関する地経学的思考
1 ブッシュ政権に対する日本国民の幻滅
2 疑わしい米国の主張―北朝鮮の「スーパー・ノート」―
3 北朝鮮による直接投資
4 激烈さを増す米欧間の競争
5 競争における日本の優位性
6 結論

第14章 北朝鮮問題後に訪れる本当の危機―東アジア秩序への衝撃―
1 トランプ政権の優先順位―公式表明の内容と実際の齟齬―
2 トランプ政権の基本方針―選挙公約に忠実―
3 窮地に追い込まれるJIBs(Japan, Israel, Britain)
4 戦略的自立を迫られる日本
5 回避できない戦略的自立―多国間安保体制は選択肢ではない―

おわりに
(補論)北朝鮮のスヴァールバル条約への加入に関する一考察
1 スヴァールバル諸島の概要
2 スヴァールバル諸島に関する国際法レジーム
3 スヴァールバル諸島を巡る国際政治状況
4 結語

著者紹介松村昌廣(マツムラ マサヒロ)
1963年,神戸市生まれ。
関西学院大学法学部政治学科卒。米オハイオ大学にて政治学修士号(MA),米メリーランド大学にて政治学博士号(Ph.D.)。現在,桃山学院大学法学部教授,平和・安全保障研究所研究委員,防衛省行政事業レビュー外部有識者。
この間,ハーバード大学オーリン戦略研究所ポストドクトラル・フェロー,米国防大学国家戦略研究所客員フェロー,ブルッキングス研究所北東アジア政策研究センター客員フェローなどを務めた。
専門は国際政治学,国家安全保障論。研究の焦点は日米同盟政策,防衛産業政策,軍事技術開発政策,軍事情報秘密保全政策など。2001年国際安全保障学会最優秀論文賞(神谷賞),2005年同会防衛著書出版奨励賞(加藤賞)受賞。
著書に『日米同盟と軍事技術』(勁草書房),『米国覇権と日本の選択』(勁草書房),『軍事情報戦略と日米同盟』(芦書房),『動揺する米国覇権』(現代図書),『軍事技術覇権と日本の防衛』(芦書房),『東アジア秩序と日本の安全保障戦略』(芦書房),『米国の覇権の凋落と日本の国防』(芦書房),『衰退する米国覇権システム』(芦書房)。


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